動画を圧縮する方法(ビットレートを当てずっぽうで決めない)
動画圧縮の解説はたいていビットレート表を渡してきます。それは目的に合わない道具です。ビットレートは「サイズ」の約束であり、あなたが本当に気にしているのは「見え方」だからです。現代のエンコーダーには後者を直接指定できます。
推測したビットレートではなく、一定の品質で
ここでのプリセットはすべてCRF(一定品質係数)を軸にしています。エンコーダーに「4 Mbpsで」と指示する代わりに「この品質を保て」と指示し、各シーンに必要なだけビットを使わせます。壁を写した静止的な画はほとんどビットを消費せず、木の葉を手持ちでパンする映像は大量に消費します。固定ビットレートは前者で浪費し後者で不足するため、最初の10秒はきれいでもすぐ破綻するファイルができるのです。
CRFは直感とは逆向きです。数値が小さいほど高品質でファイルは大きくなります。当サービスの品質プリセットはUltraがCRF 18、高品質が21、バランスが23、最大圧縮が30です。18と23の差は、ディスク上の差に比べて目で見た差はずっと小さく、バランスを既定にしている理由はまさにそこにあります。
すべてH.264映像とAAC音声をMP4コンテナに収め、インデックスをファイル先頭に移動するため、ダウンロード完了前に再生が始まります。この組み合わせはコーデックの議論なしにどこでも再生できます。スマートフォン、ブラウザー、テレビ、メッセージアプリ、そして次に読み込ませる編集ソフトでも同じです。
設定は「送り先」に決めさせる
品質プリセットが正解なのは、その動画が自分のためのものであるときです。保存用の控え、後で編集するための素材、ドライブに置いておくもの。プラットフォーム用プリセットが正解なのは、行き先が決まっているときです。その行き先には規則があり、それに合わせるかどうかは好みの問題ではないからです。
WhatsAppがいちばん分かりやすい例です。プリセットは720p・30fps・CRF 26に制限し、さらに完成ファイルに16 MBという厳格な上限を持ちます。Discordはさらに厳しく、720p・CRF 28で上限10 MB。メールはCRF 27で上限24 MBです。これらの上限は助言ではありません。上限が設定されていれば、エンコーダーはその内側に収めるよう指示され、結果も内側に収まって返ってきます。
ゆるいプリセットの仕事が少ないのは、必要が少ないからです。InstagramとFacebookは1080p・30fps・CRF 23。YouTubeはあえて解像度を制限せず、CRF 20・音声192 kbpsで書き出します。YouTube側がどのみち再エンコードするため、あなたの仕事は小さなファイルを渡すことではなく、できるだけきれいな素材を渡すことだからです。
迷ったときの誠実な既定値はバランスです。1080p上限・CRF 23で、一日いろいろ試した人が最終的にたどり着く設定とほぼ同じです。
節約のもう半分は解像度
フレームの高さを半分にすると、画素数は四分の一になります。積極的なプリセットがCRFを上げるだけでなく解像度を制限するのはそのためです。4Kのスマホ映像を720pにすると、エンコーダーが品質の判断を一つも下さないうちに画素の約9割が消えます。しかもスマホの画面ではほとんど誰も気づきません。
上限はあくまで上限です。すでに720pの動画を1080pまで許すプリセットに通しても720pのままで、拡大されることは決してありません。拡大とは記録されていない画素を作り出すことであり、大きくて甘い映像になるだけです。それを黙って行う道具は、自分の出力について嘘をついていることになります。
フレームレートも同じ考え方です。メッセージやメール向けのプリセットは30fpsを上限とするため、60fpsのクリップはフレームの半分と、およそ三分の一の容量を失います。画面録画や人が話している映像では気づきません。速いスポーツやゲーム映像では気づきます。だからこそ品質プリセットとYouTubeはフレームレートに手を触れません。
アップロードの前に見積もりが出ます
ファイルを選ぶと、ワークスペースがブラウザー内でそれを読み取り、分かったこと(長さ・解像度・容量)と、選択中のプリセットでの結果の見積もりを表示します。プリセットを変えれば見積もりも変わります。ここまでにアップロードは一切発生せず、ファイルは端末から出ていません。
これは意図的に、後でワーカーが実行するのと同じ計算です。画面用に別途書かれた推測ではありません。エンコーダーと違う計算で予測を出せば、いずれエンコーダーが返さない値を約束することになり、画面上の数字は黙って飾りに変わってしまいます。
処理を開始するとファイルがアップロードされ、変換が始まります。進捗は実際の進み具合で、何があっても満ちていくアニメーションではありません。完了時には、これからダウンロードするファイルそのものを測った実際の出力サイズと削減率が表示されます。
返ってくるものと、元ファイルの行方
返ってくるのはウォーターマークのないMP4で、その処理が実際に生成したサイズそのものです。登録もアカウントも不要で、良い設定を有料プランに隠していることもありません。ここで説明したプリセットは、いちばん手間のかかるものも含めて誰でも使えます。
1ファイルあたり2 GB、1回の処理で10ファイルまで送れます。スマートフォンの録画ならほぼどんな長さでも収まります。アップロードしたファイルも生成したファイルも24時間後に自動削除され、ダウンロードリンクも同時に無効になります。その日のうちにタブを閉じる前に保存してください。
元のファイルには手を加えません。圧縮はコピーに対して行われます。結果が望みどおりでなければ、出力をもう一度圧縮するのではなく、プリセットを変えて同じ元ファイルでやり直してください。圧縮済みの動画をさらに圧縮すると損失が積み重なります。各回は「渡されたもの」を基準に情報を捨てるため、バランスで2回通すほうが最大圧縮で1回通すより見た目が悪く、しかも節約は小さくなります。
手順
- 01
動画を選ぶ
MP4・MOV・MKV・AVI・WEBM・WMVのファイル(2 GBまで)をドラッグします。長さ・解像度・容量はアップロード前にブラウザーで読み取られます。
- 02
プリセットを選ぶ
自分用なら品質レベルを、送り先が決まっているならその宛先(WhatsApp、Instagram、YouTube、Facebook、Telegram、Discord、メール)を選びます。
- 03
圧縮してダウンロード
処理を開始し、実際の進捗を確認します。完了すると最終サイズと削減率が表示され、MP4をダウンロードできます。両方のファイルは24時間後に削除されます。
よくある質問
圧縮すると動画は汚くなりますか?
既定のバランス設定なら、スマートフォンやノートPCで気づくほど劣化することはまずありません。CRF 23は品質の水準であって固定の割り当てではないため、難しいシーンは必要なビットを確保できます。最大圧縮は別物で、720p・CRF 30まで下げるため、画質より容量制限が重要な場合向けです。
動画がまだWhatsAppに送れない大きさです。どうすれば?
品質プリセットではなくWhatsAppプリセットを使ってください。完成ファイルに16 MBの厳格な上限が設定されており、品質水準を狙って祈るのではなく、上限内に収めるようエンコーダーに指示されます。Discordとメールのプリセットもそれぞれ10 MB・24 MBの上限で同じ仕組みです。
どの形式をアップロードできますか?
一般的な動画ファイルはすべて対応します。スマートフォンが作るMP4やMOVに加え、MKV、AVI、WEBM、WMVも扱えます。出力は常にMP4で、誰にも何かをインストールさせずにどこでも再生できる形式です。
ウォーターマークや登録、有料プランはありますか?
いずれもありません。作成するアカウントはなく、動画に何かが焼き込まれることもなく、すべてのプリセットを誰でも使えます。1ファイル2 GBまで、1回の処理で10ファイルまでです。
処理後、ファイルはどうなりますか?
アップロードしたファイルと圧縮結果は、処理から24時間後に自動的に削除され、ダウンロードリンクも同時に期限切れになります。必要なファイルはそれまでに保存してください。